サウディレーナ国王と、西の魔法使い (中編)
2007年1月3日 連載噂に違わず美しい青年に息を飲み、一目で恋に落ちてしまいました。
カシムも宝石ひとつ身にないにもかかわらず、彼女の溢れる気品と美しさの前にはただ釘付けになるのみです。
そして王女は、その晩から城には帰らなくなってしまいました。
しかしそんな蜜月は何日も続かぬ内に、やがて王様の耳に入るようになります。
サウディレーナ王はもちろん娘の愚考を許すはずもなく、魔人を呼び出し叫びました。
「この王宮の全ての宝石を与えようぞ! まず王女付きの侍女など皆、黒い鳥に姿を変えてしまえ!」
魔人が呪文を唱えると、見る間に侍女達は全身真っ黒なカラスとなり散り散りに空の彼方に飛び去って行きました。
カラスが光る物を集める習性は、もしかしたらこのサウディレーナが起源なのかも知れません。
次に国王は魔人を伴って雲に乗り、国の上空からカシムの家を目指します。
この豊かに栄えている我が国の王女が、平民になどと...王の眉は吊り上がり拳はブルブルと震えています。
カシムは突然現われた雲を突くような大魔人に驚きを隠さずにはいられません。
しかも自分の愛した女性が、このサウディレーナ1美しいと謳われた王女だったとは!
「心広き王様、どうかお許しを。 私めがそんな恐れ多いことをしていたなんて...」
カシムは、ただただ跪き詫びるのみです。
するとそれを遮るように今はみすぼらしい身なりではありますが、王女は父王と魔人に対峙します。
「カシムは私が王女とは知らず愛してくれました、私はもう二度と城には戻りません」
その言葉を聞いたサウディレーナ王は、魔人に怒りに任せて命じました。
「この平民男を、犬にでも変えてしまえ!」
カシムも王宮の侍女達の様に、あっという間に動物の姿となってしまいました。
さすがの王女もこれなら帰って来ると、王様は考えられたのでしょう。
「番犬でなら飼ってやってもよいぞ、さぁ一緒に王宮の花園に供に帰ろう」
しかし、思いも寄らない結末が待っていました...。
「お姉さま、そのお話の続きをもっと聞きとうございますわ」
「それについては次の晩、とくと語らせていただきましょう。
ただ王様さえ私の命をお助けくださいますなら」
カシムも宝石ひとつ身にないにもかかわらず、彼女の溢れる気品と美しさの前にはただ釘付けになるのみです。
そして王女は、その晩から城には帰らなくなってしまいました。
しかしそんな蜜月は何日も続かぬ内に、やがて王様の耳に入るようになります。
サウディレーナ王はもちろん娘の愚考を許すはずもなく、魔人を呼び出し叫びました。
「この王宮の全ての宝石を与えようぞ! まず王女付きの侍女など皆、黒い鳥に姿を変えてしまえ!」
魔人が呪文を唱えると、見る間に侍女達は全身真っ黒なカラスとなり散り散りに空の彼方に飛び去って行きました。
カラスが光る物を集める習性は、もしかしたらこのサウディレーナが起源なのかも知れません。
次に国王は魔人を伴って雲に乗り、国の上空からカシムの家を目指します。
この豊かに栄えている我が国の王女が、平民になどと...王の眉は吊り上がり拳はブルブルと震えています。
カシムは突然現われた雲を突くような大魔人に驚きを隠さずにはいられません。
しかも自分の愛した女性が、このサウディレーナ1美しいと謳われた王女だったとは!
「心広き王様、どうかお許しを。 私めがそんな恐れ多いことをしていたなんて...」
カシムは、ただただ跪き詫びるのみです。
するとそれを遮るように今はみすぼらしい身なりではありますが、王女は父王と魔人に対峙します。
「カシムは私が王女とは知らず愛してくれました、私はもう二度と城には戻りません」
その言葉を聞いたサウディレーナ王は、魔人に怒りに任せて命じました。
「この平民男を、犬にでも変えてしまえ!」
カシムも王宮の侍女達の様に、あっという間に動物の姿となってしまいました。
さすがの王女もこれなら帰って来ると、王様は考えられたのでしょう。
「番犬でなら飼ってやってもよいぞ、さぁ一緒に王宮の花園に供に帰ろう」
しかし、思いも寄らない結末が待っていました...。
「お姉さま、そのお話の続きをもっと聞きとうございますわ」
「それについては次の晩、とくと語らせていただきましょう。
ただ王様さえ私の命をお助けくださいますなら」
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