サウディレーナ国王と、西の魔法使い (前編)
2007年1月2日 連載その昔...東西南北を砂漠に囲まれてはいましたが、たいそう豊かなサウディレーナという国がありました。
多くの隊商が通過するため市もたくさん立って栄えていて、国王はそれはそれは美しいお妃を迎えられ、すぐに続けて二人の王子にも恵まれたそうです。
その兄弟王子もすくすくと育ち、弟王子が10歳になった時に今度はお妃様によく似た王女が誕生しました。
...が、出産と同時に王妃様は亡くなってしまったのです。
国王のご落胆ぶりは、その後いくら大臣達が再婚や側室を持つよう美しい乙女達を連れて来て勧めても絶対に応じられなかった程です。
それは王女が成長していくたびに、かつての王妃様に瓜二つとなってきたことに起因するのかもしれません。
王女はサウディレーナ王宮の奥深く噴水のある花園で侍女達に囲まれ、何不自由なく育ちました。
ある日その侍女の一人から、この王国で一番の美男カシムの噂を聞き逢ってみたくてたまらなくなりました。
でも父王に頼んでも、ただの平民であるカシムとの謁見など不可能でしょう。
王女は侍女達に自分の身につけている全ての宝石と引き換えに、黒い布で全身を包み夜中に城を抜け出しカシムの家まで案内させることを思いつきました。
そして、まんまとその策略は成功しカシムの姿を物陰から見た王女は...。
「お姉さま、そのお話の続きをもっと聞きとうございますわ」
「それについては次の晩、とくと語らせていただきましょう。
ただ王様さえ私の命をお助けくださいますなら」
多くの隊商が通過するため市もたくさん立って栄えていて、国王はそれはそれは美しいお妃を迎えられ、すぐに続けて二人の王子にも恵まれたそうです。
その兄弟王子もすくすくと育ち、弟王子が10歳になった時に今度はお妃様によく似た王女が誕生しました。
...が、出産と同時に王妃様は亡くなってしまったのです。
国王のご落胆ぶりは、その後いくら大臣達が再婚や側室を持つよう美しい乙女達を連れて来て勧めても絶対に応じられなかった程です。
それは王女が成長していくたびに、かつての王妃様に瓜二つとなってきたことに起因するのかもしれません。
王女はサウディレーナ王宮の奥深く噴水のある花園で侍女達に囲まれ、何不自由なく育ちました。
ある日その侍女の一人から、この王国で一番の美男カシムの噂を聞き逢ってみたくてたまらなくなりました。
でも父王に頼んでも、ただの平民であるカシムとの謁見など不可能でしょう。
王女は侍女達に自分の身につけている全ての宝石と引き換えに、黒い布で全身を包み夜中に城を抜け出しカシムの家まで案内させることを思いつきました。
そして、まんまとその策略は成功しカシムの姿を物陰から見た王女は...。
「お姉さま、そのお話の続きをもっと聞きとうございますわ」
「それについては次の晩、とくと語らせていただきましょう。
ただ王様さえ私の命をお助けくださいますなら」
コメント